2度の開腹手術を乗り越え、1年と12日ぶりに娑婆に出てきた我が家の婆が快気祝いに刺身を食わせろ、寿司が食いたいとのたまう。魚屋の魚はだめだ、釣ってきた魚でなければと説得しているが、かなり食べたいらしい。本家の叔父が生きのいい?小柱で当てられ、そのまま身罷った。「食中毒ってのは痛いもんだなぁ」が最後の言葉だった。
 だいぶ前からは、84歳の年寄りには、私が釣って船上でしめ、すぐに水氷に入れて持ち帰った新鮮な魚しか食べさせていない。まして、今回ほとんど寝たきり状態で、免疫力の衰えている年寄りにはである。退職後は週1で船に乗っていたので、贅沢を言わなければ新鮮で生きの良い刺身を食べられることになる。が、この婆、個室に入っていたので、私も経済的余裕の欠如により2,3週間に1度ぐらいの釣行になってしまっていた。
 さぁて、刺身で、寿司でとなると・・・・安全確実なところは鯵かなぁというので金谷港のK丸に電話を入れて予約をとった。電話番号を聞かれたので、「ん?何かあったのかな?」とちょっと気になった。案の定追っかけるように電話が入り、沖止めだという。母には金鯵釣行は伏せておいたのでがっかりさせることはなかったが、事故にあわれた方はどうなのだろうか?沖止めが解けたら早速来週あたり行って、親孝行の真似事をしてみたい。
 ちょっとだけ、鯵釣りについて書きたい。鯵も一荷やトリプルで釣らないと数が伸びない。上針にかかったのなら50センチ上げて次の中りを待つことになるが、上針にかかったか下針にかかったかまで判断する腕は私にはない。そこで私は、一匹釣れた時の棚と針の位置、鯵の上あごに針掛かりしたか口の横の薄い皮に掛かったかなどから鯵の泳層を想像している。口の横にかかった時は、鯵の泳ぐ層よりも下に針があることになる。つまりこうである。針をくわえた鯵は上にいる仲間のところに戻ろうとして上に向かって泳ぐ。すると針は弱い口の横にかかり、巻き上げ途中でばらしたり、海面でバレたりすることになる。結果、次からは棚を50センチ上げるという塩梅である。そうして上あごに針掛かりさせれば、バレることは決してない!いずれにしても、道糸のマークで棚を確実に把握することが前提である。潮回りのたびに、海底が上下したり根の間を流す時などは、その都度棚を捜す気持ちが必要ではないだろうか。クッションゴムは1.5ミリ50センチが中鯵には良いように思う。