やはりというか先週末の嵐以来、銚子から白浜にかけて海水温の低下が続いているようだ。12度くらいだろうか。これでは魚も動けまい!今夜からの嵐が去った後も、あまり期待できないのではないか。波が収まっても、港の入口には三角波が立ち続けるだろうから、港から出ることはできても、港に入ることは難しそうである。
 以前、飯岡沖で釣りをしていた時に早揚がりを告げられたことがあったが、さほどの風や波ではない。そこで冗談に「海の男がこれきしの波!」と言ったら、「港の入口が悪くなってきたんですよぉ。我慢してくださいよぉ。」と言われた。はい、はい、海の上では船長が一番偉いのです。自らの体験から十分に承知しています。
 半世紀近くも前になるが、大学ではヨット部に居た。当時はA級ディンギーとスナイプ級、あとは一人乗りのフィン級だった。卒業の頃、470級が導入されたが乗ってはいない。毎週土日は部員の下宿に泊まり、合宿。昼はレース練習。夜はレースの分析やセールや海水面での流体力学等々と、酒。
 海上保安庁に出艇数や人数、陸っぱりを残したことなど電話を入れ、延々と続くテトラポットで囲まれた海水浴場の10メーターほどの切れ目から次々と沖に向かった。その日の気象状況はミーティングで全部員に周知されているが、マークボートに残した部員がレース記録を取りつつ沖や空の変化に注意を配る。前線が近付くと、底面が乱れた黒い雲が沖に現れる(大概は佐渡の左、西の方からだった)が、海に向かって黒いカーテンが垂れ下がるとこれは突風と大粒の雨を伴った前線で、5メーターに満たないヨットには太刀打ちできるものではない。レースを中断して一目散にワンドに向かって帰るのだが、前線の速いこと速いこと!あっという間に黒雲で空は覆われて風が強まり、大波が押し寄せた。10メートルほどの入り口前には三角波が立ち、4つか5つ、6つか7つごとに大きな波も打ち寄せる。波の間合いを計ってワンドの中に逃げ込むのだが、波に後押しされるのでヨットは波乗り状態である。プレーニングと言うが、この時は舵が全く利かずあなた任せである。レース中はスキッパー(艇長)とクルーは意見交換しながらコースを引き、他艇との駆け引きをしつつレースを戦う。が、この時ばかりは、入口に突っ込む角度を決めて大波の間合いを計ることはスキッパーの責任である。
 飯岡でも太東でも大原でも岩和田でも、ちょっと波が大きくなると船長は慎重に船を港に入れる。エンジン船でもプレーニングして思わぬスピードになったり、舵が利きにくくなったりするからである。ご存じのように船は右側通行であるが、港の出入りではスロー且つ「出船(でふね)、入り船(いりふね)」というルールがあって、出船優先である。だから、なおのこと、波に後押しされる入り船は出船のないことを確認して赤灯台寄りを入港することとなる。
 千葉でも気圧が、朝から10hpaも下がり風がかなり強くなってきた。暴風警報も出た。きっと、魚船は陸に上げたり何本ものロープで舫ったりしていることだろう。海の男は冷静且つ慎重、そして決断力に富んでいるのである。春の嵐、海も畑も大した被害を出すこと無く済んでほしい。