今年も秋山ちえ子さんの「かわいそうなぞう」の朗読を聞いた。動物園の動物だけでなく、馬や牛、犬や猫までもが戦争の犠牲になった。
 叔父の一人は玉砕して、一片の骨も帰っては来なかった。有意な多くの青年たちが戦争に行き、敗色が濃くなってからは特攻隊として短い一生を終えざるを得なかった。戦争終結半年前から戦病死者は急速に増え、戦争が終わってからも子どもを含め多くの人々が苦しみと悲しみの中で命を落とした。彼らが生きていたら目覚ましい活躍をしてより素晴らしい日本と世界を創っていたことだろうに。
 かわいそうなぞう、川とのりお、火垂るの墓、凧になったお母さん…いつも活字がにじんでしまう。
 私も奥も人口ピラミッドをゆがめている「団塊の世代」の一員だが、これも戦争のせい。息子たちは第二ベビーブームの生まれ。南朝鮮や中国の繁栄は日本の賠償によるところが大きいが、彼ら殺された側の論理は時を得て現実社会によみがえり国際環境を危うくしている。先の戦争の影は今も鮮明に残っているのだ。だが、69年間、1発の弾丸も撃たずまた撃たれなかったことも事実であって、この現実を築いてきた知恵や努力も特筆に値すると思う。