行きたくて何度かルートを探した七里川温泉にやっと、行ってきた。奥と二人(金太郎はお留守番)、カーナビに導かれて僅かに残る紅葉したモミジを眺めながら待望の七里川温泉に着いたのは11時過ぎ。玄関の扉を引いて中に入ると・・・何か異様な匂いが!見ると先着の方々が囲炉裏で思い思いに干物を焼き、酒を、酒を酌み交わしているではないか!匂いは囲炉裏で干物を焼くにおいだったのだ。帳場で入浴料を払っていると、反対側の短冊を見て干物やビール、焼酎を注文する先着者。改めて囲炉裏端を振り返ると干物から上がる狼煙で部屋の中が翳んでいる。酒以外の素材は持ち込み可らしい。一泊して囲炉裏で好き勝手に焼きながら呑んだら・・・こりゃぁ楽しいだろうなぁ。温泉はわずかに硫黄の薫る透明な湯がこぼれていた。露天風呂にも入り、周りの低い山々とゆったりと飛ぶ鳶を眺めて至福のひと時を過ごした。が、着替えた後は脱兎のごとく外に飛び出した。というのは、ロビーを越えて浴場の方まで干物から出る狼煙と匂いが押し寄せていたからだ。早く外に出ないと湿った体や衣服に匂いがこびりついてしまうではないか!外の景色を眺めていると奥が出てきた。次回は友人と一泊で訪ねたいものだ。勿論囲炉裏で呑むつもり。
 昼食は何度か辿り着けなかった蕎麦屋、加瀬を目指した。鴨川に向かう下り坂を看板を捜しながら下るとありました、看板が。金山ダムに向かう途中の加瀬に辿り着き、更科と田舎蕎麦、天ぷらを一つ頼んで、奥と酒の交渉開始!奥に認めさせるために、来る道々、助手席で居眠りをする奥を起こさずにひたすら運転手役に徹した努力を訴え続け、蕎麦屋で酒を頼まない無粋をこんこんと解説したのでありました。蕎麦を半分ほど食べたところで、やっと、とうとう、奥のお許しが出て、酒に在りつきました。いや~今回も長かった。地元の銘酒、寿万亀を大ぶりの杯?ぐい飲みで田舎蕎麦を肴に、突き出しで届いた蕎麦味噌を舐めながら、窓の外のモミジを眺めつつゆったりとした時間を過ごしました。早く認めてくれれば卵焼きも頼んだのに・・・と心の中で遠慮がちに罵りましたが口には出しませんでした。最初入った時はトイレの前の席だったのですが、窓のそば、モミジの見える席が空いたら、「よろしかったらどうぞこちらの席に」と、若女将が声をかけてくださったのです。なんと気の利いた素敵な心遣いではありませんか!一遍で女将のファンになりましたよ。奥も「こういったお店の女将さんて、なぜ綺麗な人が多いのかしら?。」と申しておりました。3つのテーブルも立派な一枚板で、蕎麦を引き立てておりました。モミジの梢を飛び交っていた小鳥はコガラだったでしょうか。この子達もまた食事を引き立ててくれたのでありました。蕎麦?勿論前評判に違わぬ香りのよい蕎麦でした、天ぷらも。
 運転を奥に任せ、真昼の酒のせいでしょうかうつらうつらした目で凪の太平洋を眺めながら家に向かいました。車は自ら運転するよりも乗せてもらうものですね。中身の濃い一日でした。