最初16日までだった予定が早く済み、月曜に帰宅して一日ゆっくり休んだあくる日、ネットで獲物を漁るとフグは絶望的。アジはよい釣果が出ているけれど80号を6時間も振りつづける自信が無く却下。背中がしびれ激痛が襲ってくるのだ。てなわけでメヌケに決定。これなら指一本で事足りる。早速鈴栄丸に電話を入れると雨模様なので水曜のお客さんには木曜に延期してもらったという返事にがっくり。「木曜は時化るけど・・・・仕方ない、木曜にするか…。」と渋々答えて受話器を置いた。するとすぐに「夕方まで待っててください、また電話します。」と電話が来た。そして4時過ぎに「1㎜という予報なんで出ます。揃い次第出たいので早く来てください。」とうれしい連絡が入った。無理やり予定を変えさせたようで、気が引けたが、それでもうれしい。
 12時に家を出て1時過ぎに現着。お客2人と2時前に河岸払いして2時間半、凪の房総沖を走った。
 第1投目は着底してすぐに小さな中りが来た。小さすぎるな、黒いやつかな?と勝手に判断して底を取り続ける。やがて「上げましょう。」のマイクで巻き上げはじめるとそこそこの引きが竿先を叩く。となりの船長が「おっ、来てるね。」と嬉しそうに声をかけてくれる。が、幹糸を手繰るが気配がない。「いい引きだったがなぁ?」と船長も首をかしげるが居ないものは居ない。
 気を取り直して2投目を390mの海底に送り込む。何度か底を取り直していると待望の中り!メヌケに違いない。「模様があんまりよくないから、追い食いを待たず巻いたほうがいいよ。」とアドバイスを受けて巻きはじめると抗う引きで竿先が大きく叩かれる。先に上げ始めた船長よりやや遅いスピードで巻く。『ぼーず脱出だね』とほくそ笑んだが、上げてみれば赤いことには違いないがナンタラカサゴが1匹に「こんなはずじゃぁ・・・。」と気分はブルー!「おかしいなあ、居ないけぇ。」と先に1匹だが良型メヌケを上げた船長も訝しがる。ホタ鉤22号なのでバレルなんて…考えられないが、居ないものは居ない。餌はよく食われている。残った餌にも歯形が残っている。魚はたくさんいたようだ。3投目は底を取り直していると何やら腑抜けたような雰囲気に巻き上げてみると幹糸がぷっつりと切られていた。この回は蚊帳の外と相成った。4投目にチビキンメを上げた。5投目、6投目も中りは訪れない。
 付録の7投目でメダイを1匹上げ、さらにおまけの8投目はエサもかじれずに終了、沖上りとなった。この日は船長の上げた1匹だけだった。
 4投目まではエサも良くとられていたが、その後はあまり喰われなかった。4投目までのエサは、イカもサバもサケもイカのワタに付け込んだもの。このひと手間かけた努力の結果の中りだったかもしれない。
 昨日木曜日、奥と二人して船頭の台所に昼飯を食べに行き、船長の話をいろいろ聞いた。
 「今日はどうだったの?」と私。
 「風が赤マークになったので、あしたに日延べしてもらったんですよぉ。メヌケもそろそろでしょうかねぇ。」と船長。
 「昨日も1投目と2投目の引きはメヌケだと思ったけどなぁ。」と私。
 「あれはメヌケですよぉ。」と船長。
 「2投目はヒラメの払い出しみたいになり底、取りづらかったなぁ。」と私。
 「その後スパンカー上げて風に建てたら船動かなくなっちゃって。ビーストマスターに8号巻いてあったでしょ。 鉤5本にして8号のほうがいいかもしれませんよ。4㌔ぶら下げても底取れない時でも8号だったら底取れますから。幹糸、30号でしょ?俺なんか50号ですよぉ。だから今シーズンまだ仕掛けは2組ですよ。」と船長。
 「アブラボーズ対策だね。」と私。
 とりとめのない、でも飽きることのない話を楽しんできた。